人気ブログランキング |

日々のあれれれ ← 日々のあれこれ


by ponta
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

日本宗教史

【送料無料】日本宗教史 [ 末木文美士 ]

【送料無料】日本宗教史 [ 末木文美士 ]
価格:840円(税込、送料込)


2006年4月20日第1刷発行。
2012年7月5日第8刷発行。

近頃評判がわるいが、とことわりつつ、丸山真男の<古層論>から筆を起こし、論を運んでいく。

万葉の時代に「日本文化の〈古層〉とされるもののおおもとが築かれた」として「それがそのままそれ以前に遡れるわけではない」。
〈古層〉は、それ自体が歴史的に形成されてきた
思想史/宗教史の最大の課題は、表層から隠れて蓄積してきた〈古層〉を掘り起こして顕在化させ、その〈古層〉がいかにして形成されてきたかを検証すること
私は、歴史を貫く一貫した〈古層〉を認めず、それを歴史的に形成されたものと考える。
大雑把に図式化してしまうと、〈古層〉は古代から中世にかけて重積され、沈殿する。
近世後期以降のナショナリズムの動向とともに、六―七世紀の記紀神話などが見直され、それが「歴史を貫く〈古層〉」として一貫して不変のものとみなされるようになる。その後、さらにそれ以前の〈古層〉を「発見」すべく、民俗学や最近の縄文文化論、アニミズム論に至るまで、さまざまな試みがなされるようになる。
宗教はこの世界の合理的な秩序を超える問題と関わる

一般の仏教の考えでは、仏の悟りを得るためには現世だけでは不十分で、いくども生まれ変わって修行を続けなければならない
それに対して、現世でただちに仏となることができるという即身成仏の思想は画期的なものであり、悟りをきわめて身近なものにした。

生者の儀礼によって死者の成仏を実現する葬式仏教の発想も、即身成仏による成仏の卑近化の上に展開することになる。


葬式仏教について「後の葬式仏教の原型は、室町期の禅宗に発する」p117
従来の顕密仏教の方式は複雑であり、通常の在家者の葬儀に応じられる体制がなかった。そこで、それに適合した簡素で整備された儀礼の方式をそなえていた曹洞宗が大きく進展することになった


葬式を担えるか否かを重視することは、宗教としては大事なことだと教わった。

つねに〈古層〉の形成について考えていなければならない。
「記紀から「漢意・儒意」、あるいは仏意を取り去ることができるかどうか疑問である」p170
歴史以前から歴史を一貫して貫く日本的発想の〈古層〉なるものはなく、〈古層〉自体が歴史的に形成されてきたものと考えるのが本書の出発点

国学から復古神道の流れを通して、日本固有の〈古層〉の「道」を求める運動が大きく展開する。それは、仏教の影響以前の純粋な日本のあり方に理想を見出そうというものであり、とりわけ記紀神話が大きな手がかりとされた。しかし、そもそも記紀神話自体が七ー八世紀に形成されたものであり、しかし仏教の影響がないわけではない。その中に純粋で理想的な日本の〈古層〉を「発見」するということは、むしろ新たな〈古層〉の創出と見るべきである。
しかし、こうして「発見」された〈古層〉が、尊王攘夷から明治へかけての政治的エネルギーを導き、神仏分離から「万世一系」の天皇を頂点とする「国家神道」の体制へと進むことになる。そして、国家神道が「宗教」の枠の外に立つことによって、さまざまな「宗教」はその活動を制約されることになった。

丸山真男の〈古層〉論は、そのような〈古層〉の横溢を批判し、歯止めをかけようとしたものであったが、〈古層〉の一貫性という虚構に足を掬われることになった。

「はじめに 日本宗教史をどう見るか」と、最後の10ページくらいだけでもよんでよかった。
by misoitame | 2013-05-07 21:00 | 本棚